はじめに
近年、冬暖かく夏涼しい「高気密・高断熱」の住まいが主流となりました。その中でも「基礎断熱工法」は、床下を室内と同じ空間として扱うことで、足元の冷えを解消できる優れた工法です。
しかし、その一方で**「床下のカビ」や「結露」**に悩まされるケースが後を絶ちません。せっかくのマイホームを健康で長持ちさせるために、基礎断熱に潜むリスクとその対策を詳しく解説します。
1. なぜ基礎断熱の床下にカビが生えるのか?
基礎断熱は床下を密閉するため、従来の床下換気口がある住宅に比べて湿気が排出しにくい構造です。特に以下の条件が重なると、カビのリスクが急増します。
① 建築直後のコンクリートから出る大量の水分
基礎コンクリートは、打ち込んでから1〜2年ほどは大量の水分を放出し続けます。密閉された床下空間では、この水分が飽和状態になりやすく、湿度が80%を超えることも珍しくありません。
② 空気の淀み(大引付近の死角)
機械換気システムを導入していても、空気には「通りやすい場所」と「通りにくい場所」があります。特に**大引(おおびき)**などの構造材が入り組んだ場所は、風が届かず空気が滞留します。この「空気の淀み」がカビの温床となります。
2. 夏場に注意!「夏型結露」のメカニズム
冬に強い基礎断熱ですが、夏場には特有のリスクがあります。それが**「夏型結露」**です。
エアコンで室内を涼しく保つ際、冷たい空気は重いため床付近に溜まります。これにより床面がキンキンに冷やされると、床下空間の湿った空気が冷やされた床板の裏側で冷やされ、結露が発生してしまうのです。
「冷房を効かせれば効かせるほど、床下の湿度が上がる」という逆転現象が起こるため、注意が必要です。
3. 大切な住まいを守るための3つの対策
床下のトラブルは目に見えない場所で進行します。被害が出る前に、以下の対策を検討しましょう。
① 床下の「見える化」(温湿度計の設置)
まずは現状把握です。ワイヤレスの温湿度計を床下に設置し、スマホなどで定期的にチェックすることをお勧めします。湿度が常に70%を超えている場合は対策が必要です。
② 強制的な空気の循環
換気システムだけに頼らず、風の届きにくい大引付近に向けて「床下用サーキュレーター」や「小型ファン」を設置し、空気を動かしましょう。カビは空気が流れている場所には発生しにくい性質があります。
③ 除湿機の活用(特に新築から2年)
コンクリートが乾燥しきるまでの期間は、床下専用の除湿機を設置するのも非常に有効です。最近では自動排水機能付きのモデルもあり、メンテナンスの手間を抑えつつ強力に除湿できます。
まとめ:メンテナンス意識が家を長持ちさせる
高気密・基礎断熱の住宅は、非常に快適で優れた性能を持っています。しかし、その性能を維持するためには、**「床下も室内の一部である」**という意識を持って管理することが重要です。
「床下の匂いが気になる」「うちは大丈夫かな?」と少しでも不安に思われたら、早めの点検をおすすめします。